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『エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』 を読む

エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング:書籍案内|技術評論社

本を読む目的

エンジニアリングマネージャー向けの本なのかなと思ってたのですがそこに限定している訳ではなく、エンジニアとして仕事をする上で他者とどう関わっていくとよいのかを全般的に書かれてる本のようで、気になったので読むことにしました。

読書メモ

# Chapter1

## 1-1
- 思考のリファクタリング = 不確実性に向き合う
  - 頭の中で発生する無駄なプロセスを削除して、問題解決に向かって明確な行動をできるように促す

## 1-2
- エンジニアリングとは、何か役立つものを実現していくための科学分野
- 実現には「はじめ」と「おわり」がある
  - はじめは、誰かの曖昧な(=不確実な)要求
  - 不確実な要求が明確な何かに変わっていく過程が実現 (=エンジニアリング)
- 企業は不確実なものを確実なものに変化させる処理装置
  - マイクロマネジメント型の組織: 不確実性の削減できる量が少ない
  - 自己組織化された組織: 不確実性の削減できる量が多い
- 不確実性の量 = エントロピー
  - エントロピーは、発生確率が偏る(=確実性が上がる)と少なくなる
- 不確実性を減少させる知識 = 情報
  - 情報があれば、不確実性の少ない選択が出来る
- 不確実性の発生源は、「未来」と「他人」
  - 未来のような不確実性は、環境不確実性という
    - 不確実性を下げるには、行動し実験して観察する
  - 他人のような不確実性は、通信不確実性 (コミュニケーション不確実性)
    - 不確実性を下げるには、コミュニケーションを行う
- 不確実性に向き合うことを阻害する習性 = 不安
  - 不確実性が減らない限り、不安は減らない
  - しかし、不確実性に向き合うこと自体が、不安を生み出す
- エンジニアリングの本質は、不確実性の削減
  - いかにして多くの情報を生み出すか
  - ソフトウェアを書く以外に不確実性を削減できるなら提案すべき

## 1-3
- 学力テスト
  - 1人で行い、情報は問題に書いてあり、答えは決まっている
- 仕事
  - 複数人で行い、情報は必ずあるわけではなく、答えは決まっていない(問題の設定から始まる)
- 思考のリファクタリング = 3つの考え方を使って複雑な問題を簡単な問題に変換すること
  - 論理的思考の盲点を知る
  - 経験主義と仮説思考
  - システム思考
- 論理的思考の盲点とは、人は論理的な思考を常に正しく運用できるわけではない
- 経験主義とは、情報を得るために行動を起こしてその結果を観察し、問題解決を行う考え方
- 仮説思考とは、限定された情報から全体像を想定して確かめることで、少ない情報から問題解決を行う思考様式
- システム思考とは、正解を設定するための広い視野で問題を捉えるための思考様式

## 1-4
- 論理的思考 = 演繹的思考
  - 前提であるルールと事象から、結論を導く思考方法
- 演繹的思考の2つの前提
  - ルールと事象(考えの基になる事実)を正しく認知できること
  - 正しく演繹できること
- 人間が正しく論理的思考をするためには
  - 事実を正しく認知できる
  - 感情にとらわれずに判断できる
- イドラ = 人間の錯覚や認識間違いが存在すること
  - 種族のイドラ: 人間が持っている性質に起因
  - 洞窟のイドラ: 個々の環境から一般化することに起因
  - 市場のイドラ: 言葉の不適切な使用から生じる誤解・偏見に起因
  - 劇場のイドラ: 伝統や権威を無批評に受け入れることに起因
- 認知的不協和
  - 上から押し付けるように伝えることは、逆に行動を起こせない理由づけになってしまう
- 人はアイデンティティだと思っている範囲を攻撃されると怒りを感じる
- 怒りを感じた時は、悲しみとして表現して伝える
  - また、何がどのように傷つけられたのかを深く捉えることは自分自身を知ることに繋がる

## 1-5
- 不確実性を確実なものにするには、未来を現実にすること (行動して確かめること)
  - 堂々巡りの議論をするより、同じコストで可能性を1つでも潰す方が前に進む
- 経験主義的な発想では、「わからなかった・正解ではなかった」はヒントであり、次の行動を生み出す
- 効率よく不確実性を下げるには、不確実性の高い課題から優先して対処する
- 経験主義で重視するのは、行動できることは何か、行動の結果起きたことを観察できるか
- コントロールできることはなにかを見極める
  - コントロールできないもの(e.g. 内心)をコントロールしようとしても、思考の混乱やストレスを引き起こす
- 観察できるものとできないものを見極める
  - 行動は観察できる
- 「コントロールできる」ものを操作し、「観察できる」ことを通じて、その結果を知識にする(=経験主義)
- 人間の推論能力の方法は3つ
  - 演繹法(deduction)
  - 帰納法(induction)
  - 仮説法(abduction)
- 仮説法は、「わずかな情報から」、大胆に推論を行い、「証拠を探す行動に繋げる」こと
-  仮説検証(e.g. PDCA)で重要な2点
  - 何が仮説なのかを明らかにすること
  - どのようにしたら、検証できるのかというアイデアを持つこと
- リアルオプション戦略で、不確実性の大きさをメリットに変える
  - 遅延した意思決定を行うための戦略
    - 遅延した意思決定とは、成功確率が上がるまでは巨額の投資判断を行わない考え方 (cf. MVPによる仮説検証)

## 1-6
- システムの語源の意味は、「組み立てる」
  - 秩序立った複数要素の組み合わせ
  - 要素を分けても見られない性質をもつ関係性
- 一般システム理論を背景に、システム思考が生まれた
- 要素還元的思考 vs 全体論的思考
  - 要素還元的思考: より細かい要素に分解し、要素の性質を知ることで、すべての現象を説明する
  - 全体論的思考: 要素の関係性に注目する
- システム思考は、全体論的思考
- システム思考において、フィードバックサイクルが重要
  - フィードバックサイクルとは、ある原因に対する結果が、その原因自体に変化をもたらすという時系列関係のこと
- フィードバックサイクルは2種類に分類できる
  - 拡張のフィードバックサイクル: 結果が原因そのものの量を増やす
  - 抑制のフィードバックサイクル: 結果が原因そのものの量を減らす
- 問題解決のための眼は、視野、視座、視点に分類できる
  - 視野: あるポイントから問題を眺め得た時bに同時に把握できる領域の広さ
  - 視座: 問題をどのように受け止めるかといった姿勢
  - 視点: 問題の捉え方。普段は見えない角度から本質をえぐり出すこと

## 1-7
- 内省する力 = 自分の知性に対する絶え間ない疑いと自分自身への洞察力
  - 自分がどのようなタイミングで間違った認知をし、間違った意思決定をしてしまうのかを知る
- コミュニケーション不確実性は3つに分類できる
  - 他者理解の不確実性
  - 伝達の不確実性
  - 成果の不確実性
- コミュニケーション不確実性の結果起こるもの
  - 情報の非対称性
  - 限定合理性
- 人間はわからないものがあった時に、回避するか攻撃するかを迫られる機能が本能的に埋め込まれている
yinm

WRITTEN BY yinm

I'm a Frontend Engineer.